韓国で鍼を受けに行ってみた

いつもご愛顧ありがとうございます。

先週、ソウルに行った際に「韓医院」にて鍼の施術を受けてきました。日本で鍼灸に馴染みのある方にとっては、韓国や中国の制度や施術スタイルの違いも興味深いところではないでしょうか。

鍼灸師という資格は韓国・中国にはない?
日本には国家資格として「鍼灸師」が存在しますが、韓国や中国にはこの資格はありません。その代わりに、韓国では「韓医師」、中国では「中医師」という医師免許に該当する国家資格があります。これらは5~6年の大学教育を経て取得されるもので、診察・薬の処方・鍼灸施術を含む広範な医療行為を行えます。ちなみに日本でも医師は患者に鍼灸の施術することができます。

「漢方」「韓方」「中医学」の違い
「漢方」は中国由来ですが、日本独自の進化を遂げたもので、実は中国には「漢方」という言葉は存在しません。中国では「中医学」、韓国では「韓方(ハンバン)」と呼ばれ、それぞれの文化や体質に合わせて独自に発展しています。例えば、日本でおなじみの「葛根湯」は、韓国・中国にもありますが、成分配合が微妙に異なるそうです。

ソウル薬令市へ
ソウルに「ソウル薬令市(ヤンニョンシ)」という場所があります。韓国の韓方薬剤の取引量の約7割を占める韓国最大の韓方薬材専門市場で、約8万坪の敷地に韓医院、韓薬局、韓薬房、韓方薬材料屋などおよそ千軒もの韓医薬関連のお店が集まっています。中心部のソウル韓方振興センターに韓医薬博物館というのがあり、韓医薬に関する歴史的な遺物と多種多様な薬剤や資料が展示されていて結構楽しめました。その他、薬草足湯体験、普済院体験、薬膳体験などもできます。ソウル中心部の東大門から地下鉄でわずか3駅ととても近いので、興味のある方は是非訪ねてみてはいかがでしょうか。今回はこの薬令市にある韓医院にて鍼を受けてきました。

 韓医が主役の韓流ドラマとして「チャングムの誓い」「ホジュン」「馬医」「医心伝心」などがあり、視聴経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。現代の韓国は美容整形をもとより美容医療が浸透していて、韓医の分野でも美容鍼など美容に関する施術メニューがとても豊富です。私が受けたのは美容でなく、体に対する施術で、施術メニューはカッピング(吸い玉)、鍼、低周波通電、蜂毒注射で30000ウォン(約3300円)というものです。蜂毒を注射または生きた蜂のハリを患部に刺す蜂毒治療というのも興味をそそりましたが、これは、ミツバチの毒(蜂毒)を利用して痛みや炎症の治療を行う代替医療・伝統医学療法で、韓国・中国・欧米・ロシアなどで用いられており、韓国では韓医院で医療行為として実施されています。初めて知ったのですが、実は日本でも蜂毒療法を施術しているところがあるようです(完全に民間療法です)。

 さて、いよいよ施術です。
1、体のデータを取る
 高性能な体脂肪計みたいなのに乗ってデータを取ります

2、問診
 1のデータを元に問診です。幸か不幸か、特に痛い箇所も不調もないことを告げ、全身調整をお願いしました。あまりそういう人は来院しないようでちょっと困っていました。

3、カッピング(吸い玉)
壺の中に火を入れ陰圧にして皮膚にかぶせ壺を皮膚に吸い付かせます。血行促進や痛み・凝りの緩和を目的とします。バーナーのようなものを使用し火力が強く、吸い付きがかなり強力でした(日本ではライターを使うことが多くよりマイルドな吸い付きです)。背中一面と上腕に吸い付けて赤外線照射して15分程おきました。
カッピングは伝統医学で古くから使われてきた療法ですが効果は限定的・症状次第で個人差があり、一定の効果がある可能性があるものの、エビデンスはまだ不十分または限定的です。医師が全否定している動画を見たこともあります。曰く単なるプラセボであると。しかし、多くの人が一時的な症状緩和を体感しているのも事実です。お相撲さんや海外でも多くのアスリートがカッピングの跡を付けて競技をするのを目にします。一流アスリートは細心の体のケアをしているはずで、そのような人たちがカッピングをしているのを考えると一定の効果があると考えられます。


 
4、鍼
カッピングの壺を全部取ったあと、おもむろに鍼を刺し始めました。不意打ちだったので、最初「痛てっ」って言ってしまいました。日本で鍼を刺され慣れていますが、20本ほど刺した鍼がことごとく全部痛かったです。日本の鍼は鍼管というストロー状の管の中に鍼を入れてトントンと刺し、鍼自体もとても細く痛みは少ないですが、中国や韓国は鍼管を使わず鍼を直接刺し、しかも鍼が太いです。その代わりものすごく刺すのが早くまるで画鋲をさしていくように次々刺して、あっという間に刺し終わりました。
後で確認したところ使用鍼は長さ4cm、太さ0.3mmとのことでした。日本の規格では、長さは寸3と言われる一般的な長さですが、太さ0.3mmの鍼は6号鍼に該当し、私が通常使用しているのが1号鍼(0.14mm)、通電時が3号鍼(0.20mm)なのでかなり太いです。


5、低周波通電
6チャンネルを使い低周波鍼通電を行いました。これ自体は日本とあまり変わりありませんでした。たぶん1Hlz(1秒に1回電気発生)で15分程。


6、次はいよいよ蜂毒注射
かと思ったら終了でした。痛いところや炎症箇所がないので打てないようです。残念。

施術後の感想
元々特に痛いところも不調なところもなかったので、何かが良くなったという感じは正直ありませんでした。これは仕方ないところです。
・カッピングはかなり内出血で跡がついた。一か所水ぶくれができた。4日経った今もくっきり残ってる。
・施術前に消毒をしないのが気になった(術後は行った)。日本では施術前後の消毒が義務化されている。
・鍼はかなり痛い。刺すのは早い

施術内容や順番は、あくまで私が訪れた韓医院での体験に基づいています。すべての韓医院が同じではないことをご承知おきください。。

今後も「行ってみた」シリーズとして、機会があれば国内や海外の鍼灸や伝統医療の体験をレポートしていきたいと思います!