台湾で鍼を受けに行ってみた
いつもご愛顧ありがとうございます。
今回は、夏休み後半に訪れた台北のレポートをお届けします。
台湾の鍼灸事情
台湾でも、マレーシアと同様にマッサージと鍼灸は別系統に分類されます。
鍼灸の施術には日本のような独立資格はなく、「中医師」という国家資格の一部として位置づけられています。
中医師は、鍼灸・中藥(漢方薬)・推拿(マッサージ)などを包括的に扱うことができ、そのあたりは中国本土と同じです。ただし、台湾にはかつての日本統治時代の影響が色濃く残っており、鍼のスタイルにも違いがあります。
日本では、鍼管(しんかん)という細い管を用いて細い鍼を刺す「管鍼法」が一般的。一方、中国本土では太い鍼を直接刺すのが主流です。台湾では、中国式を受け継いだ施術者もいれば、衛生面や快適さを重視した日本式の管鍼法を使う施術者もいます。
なお、台湾では中医師の資格を持つ者で、台湾人か永住権保有者しか鍼灸施術ができず、外国人が台湾で開業するのは極めて難しいようです。
日本から中医クリニックを予約
台湾では中医クリニックが街中に多数あり、鍼灸はとても身近な存在です。台湾の健康保険証があれば、保険適用で格安に受診可能。
地元の人たちは、日本で内科に行く感覚で、ちょっと不調があると中医を受診するそうです。
私は今回、事前に日本からコンタクトを取り、「主訴は特にないが全身調整で鍼を受けたい」と伝えたところ、「Welcome!」との返事で予約しました。






1階が漢方薬材店、2階がクリニックになっていて、処方される漢方は1階で調剤されています
クリニックでの初診
訪れた中医クリニックは大きめで、中医師が曜日や時間で交代制になっており、7人の先生が所属していました。
待合室には地元の方のほか、台湾在住らしき日本人の姿もちらほら。受付スタッフは中国語のみでしたが、スマホの翻訳アプリで何とか意思疎通できました。
初診なので問診票を記入。英中併記の用紙だったため、「自律神経調整」「不眠」など、読めそうな漢字で記入しました。
順番が来て診察室へ。担当は若い男性の中医師で、にこやかに対応してくれました。
中国語はわかるか聞かれ、「No」と答えると、「英語は?」「少し」、ということで英語でコミュニケーションを取りました。
ちなみに、「中藥(ジャンヤオ)」のことを、先生は最初から「漢方」と言ってくれて、日本人にもとても慣れて親切な印象です。
脈診と漢方の処方
まず脈診を受け、「特に問題はない」とのことでした。内臓やメンタル系の症状では、診察と薬の処方のみで鍼灸は行わないことも多いようです。
このあたりは鍼灸はあくまで中医の一部であることを実感します。
この日は柴胡加竜骨牡蛎湯を30日分処方されました。
「日本で買うならツムラNo.12を」と教えてくれました。ツムラの名前が出てきたのがちょっと嬉しい驚きでした。
本来ここで診察は終了のようでしたが、「ぜひ鍼も受けたい」と伝えると、快くOK。
ただし、自費診療になるので、ここで費用の説明がありました。


費用について(初回)
・処方薬:100NTドル×30日分 = 3,000NTドル
・初診料:200NTドル
・診察料:350NTドル
・鍼灸代:500NTドル
合計:4,100NTドル(約20,500円)
ちょっと予想より高額で現金の持ち合わせが足りなかったので、薬を14日分に減らしてもらい、2,450NTドル(約12,250円)に調整。
クレジットも使えるとのことでしたが、台湾発行のカードでないと認証が通らず、結局現金で支払いました(今回の台湾滞在中で唯一、クレカが使えなかった場所です…薬を減らしておいて正解でした)。
いよいよ鍼の施術
鍼の施術は、カーテンで区切られた小さなベッドがある小部屋で行われました。
マッサージには向かない狭さで、鍼専用の空間のようです。低周波の電気(パルス)は使われておらず、かなりシンプルな構成でした。
先生は、日本式の管鍼法を使っており、痛みは全くありません。
メンタルや自律神経に関わるツボを中心に、18本ほど鍼を打ち、15分間赤外線をお腹に当ててリラックス。
とてもオーソドックスな施術でした。
終了後、受付に戻ると薬も用意されており、会計して終了。
自費だと高くはなりますが、保険証を持っていれば、おそらく1,000円程度で済むのでしょう。
当初は中国鍼に恐れ慄き絶対受けないと言っていた妻ですが、マイルドな鍼を見て安心したのか、私も受けたい、と言い出し、2日後の予約をしてクリニックを後にしました。






妻の施術(2日後)
担当医は偶然、私のときと同じ先生。
主訴は「左腰痛」と「左膝の違和感」。旅の疲れが出てきた頃でした。
整形系の症状は、問診の後すぐに鍼の案内。「え、漢方はないの?」「処方しますか?」 「お願いします」みたいなやり取りがあって、それじゃぁ脈見ましょう、となって脈診。
メンタル系と逆で整形系は鍼メインで漢方はなし、が普通のようです。
脈をみて「冷えはありますか?」「冬はありますが、今はないです」ということで処方されたのは真武湯(ツムラNo.30)。冷え対策で腰痛向けではありませんが、予防的な意味合いのようです。
鍼は局所治療が主で、左腰が上になるよう側臥位で横になり、痛いところに刺すのがメイン、あとは周辺のツボや筋肉に刺す感じで、赤外線を15分あてて、抜鍼して終了。こちらもオーソドックスな施術です。直後効果の程はNRS(痛みの程度を10-0で表す評価法)で腰の最初の状態が10で施術後が1、右膝が10→0と驚く効果があったようです。





想定外のトラブル:抜鍼忘れ
施術後、先生から「終わりです」と言われて妻が体を起こした瞬間、膝上(血海というツボ)に鍼が1本残っていることに気づきました。
近くにいた看護師に抜いてもらいましたが、体動のせいか内出血が起き、2週間ほど青あざが残りました。
実はこの「抜鍼忘れ」、鍼灸の現場では時々発生します。原因は100%施術側の不注意です。
これ、私たち自身が施術するときは絶対に起こさないよう細心の注意を払っています。というのも普通の鍼灸院だったら、単なる「不注意」ですが、私たちがやったら「目が悪いからだ」と思われてしまうからです。
代金は薬を1週間分にしたので合計1750NTドル(8750円)でした。

10日後の青アザの様子
※記載内容はあくまで私たちが行ったクリニックでの体験に基づいております。他のクリニックで同じ施術になるとは限りませんのでご承知ください。
台湾のマッサージ事情
台湾のガイドブックや案内サイトを見るとクーポン付きで足裏マッサージがたくさん載っています。観光客にも人気があり競争が激しく非常に盛んです。台湾の足裏マッサージ(足底按摩、リフレクソロジー)には、国家資格のような公的な免許制度は存在しません(民間の認証団体はいくつかあるようです)。誰でもある程度の技術を身につければ開業することが可能です。普通の全身マッサージやオイルマッサージもありますが、こちらも同様に国家資格制度はありません。
※国家資格を持つ中医師による医療機関での保険適用の医療マッサージも別に存在します
台湾にもある盲人マッサージ制度
台湾には、視覚障害者限定でマッサージの国家資格があります。台湾では、視覚障害者の職業として「按摩師(マッサージ師)」が法的に認められており、職業訓練制度が整備されています。晴眼者はこの資格を取得できず、視覚障害者限定となっています。視障按摩(盲人マッサージ)と呼ばれ高く評価されています。カリキュラムは6か月~1年で、訓練修了後に労働部職業能力認定試験(技術士技能検定)を受験し、合格すれば「按摩技術士(按摩丙級技術士)」として認定され、正式に「盲人按摩所」などを開業・就職できる資格を得ます。入学条件は台湾の障害手帳を有していること、となっていますので外国人でも在住であればいけるかも知れませんね。
実はこの制度は日本の台湾統治が大いに関係しています。日本の統治下にあった50年間に、日本の福祉制度や教育制度が台湾に移入されましたが、視覚障害者の職能訓練としての「あんま」制度も、台湾に導入されました。日本本土と同様に、盲学校での職業教育として、按摩・鍼灸の訓練が行われるようになりました。日本式の教育カリキュラムや技能訓練が導入され、按摩は視覚障害者にとって主要な職能とされていました。
足裏マッサージは台湾の民間療法に元々存在していましたが、「盲人按摩」制度は日本式がベースです。
1945年以降、中華民国政府が台湾を統治するようになってからも、視覚障害者による按摩は職域として制度的に保護され台湾に根付き、独自の進化を遂げていきました。
機会があれば台湾での盲人マッサージも受けてみたいと思います。
台湾でやりたかったこと
台北では他にもやるべきことがありました。
1、台北ドームで野球観戦(2023年オープン)
2、大昔に住んでいた場所の訪問(実は妻は台北で小学生時代を過ごしました)
3、野柳への遠足再訪(妻の思い出の地)
1~3全部できました。2はまるでドラマのような展開だったのですが、長くなりましたので、今日はこの辺で。
その他にも、クアラルンプールから台北に向かう飛行機の中でiPhoneが壊れる(リブートをひたすら繰り返す)トラブルがあり、色々大変だったので、そのあたりも含め後日書きたいと思います。
最近、なぜかブログの閲覧数が急に伸びてまして(特に裁判の記事)、どこかに晒されたのか、何かが起きているのか…?
真相はわかりませんが、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。














